世界はぼくらに語りかけている

世界はぼくらに語りかけている

 

夕方の駐車場

西と南から雨が上がり

薄い黄金色の空はやわらかく

まるで何かが過ぎ去ったあとのように

何かが語りかけるかのように

「もうすぐ虹がかかる」とわかる


東と北の境を見上げれば

やがて大きな七色の帯が現れる

空にかかるアーチ


もしも巨人がいるとすれば

あのくらいの大きさだろう


神さま仏さまが

姿をあらわすとしたなら

あのくらいの大きさだろうという

虹がかかった


誰にも伝えることはなく

ただ虹を眺め

言葉にできない言葉を胸に

ドラッグストアへと向かった


世界はぼくらに語りかけている

空の移り変わりをメッセージとして

お店の中のBGMをメッセージとして

万象に姿を変えて

「自分自身を歩みなさい」と

無我であるこの世界で

「自分自身に負けないよう」にと

語りかけている


ぼくたちは忘れてゆく

何もかもを

苦しかった日

悔やんだ日

懺悔したことさえも

いともあっさりと忘れ

また何かを求めてしまう


もう何もいらないと誓った次の日に

蜜の味にまた振り出しに戻ることもある


世界はぼくらに語りかけている

「あなたは愛されている」と

だからこれ以上求めなくていいと


全てはそのときはそのとき


ぼくたちを求めさせるのは

おそれの感情だ


だからもう何も不安にならなくていい

心配という「物語の創作」もしなくていい


世界はぼくらに語りかけている

「一人で生きているわけではない」と

「だからこそ一人で生きる強さを持ちなさい」と


世界はぼくらに語りかけている

だからぼくらは本当は

誰一人としてさみしくはないんだ


同じような重さの試練を

贈りものとしていただきながら

見守られながら生きている


空を見上げれば

あの日の虹がある


忘れることのない虹がある


世界はぼくらに語りかけている

「世界は面白いだろう?」


明日どうなるかわからなくとも

刹那のすべては愛しく

ぼくたちの1秒1秒は輝きに満ちている


だからもう何も不安にならなくていい

心配という「物語の創作」もしなくていい


世界はぼくらに語りかけている

「一人で生きているわけではない」と

「だからこそ一人で生きる強さを持ちなさい」と


世界はぼくらに語りかけている

だからぼくらは本当は

誰一人としてさみしくはないんだ

 

 

illustration & Message by あとじまこと

 

 

 

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